無尽(むじん・むんじん)

 無尽(むじん・むんじん)という言葉をご存知でしょうか?
簡単に言うと岩手県内でも北上やその周辺で多く行われている飲み会の一形態を表わす言葉です。
北上では「今日無尽だから」という一言があると普段飲みに行くときにいやーな顔をする奥様も比較的快く送り出してくれる傾向があるとかないとか(笑)
その他の地域の人には「無尽?なにそれ?」という反応を返されることも多い独特の飲み文化「無尽」について独断と偏見で解説してみます。

 無尽は基本的に職場・地域の仲間、同級生といったメンバーで構成され、毎月1回開催される飲み会なのですが、その際に飲み代プラス一定額の積み立てを行います。積み立てられたお金は月一回メンバーの誰かが持ち回りで全額総取りする「取り無尽(通常無尽とも言う)」や、たまったお金で旅行に行く「旅行無尽」などがあります。

無尽の種類いろいろ

取り無尽

 通常「無尽」というとこちらを差します。
一般的には12人が集まり1年間毎月1回飲み会を行います。その際飲み代とは別に積立金を支払い、毎回誰かが全額を持ち帰ります。
12人に満たない場合は期間を短縮したり、だれかが複数口積立金を払ったりしてなるべく1年間(12回)開催できるように調整します。
一番オーソドックスな積み立て1万円のケースで説明しますと、自分を含め12人が参加し、月の取り分は12万円。1年間の無尽で積み立てる金額は 毎月1万円 x 12ヶ月=12万円 ですのでなんの事はない利息の付かない定期積み立てということになるわけです。

旅行無尽・飲み無尽

 積み立てをしたお金を誰かが取るのではなく1年なら1年積立金はずーっとためたままにしておきます。そして期間満了時に各人へ清算するとともに旅行などの計画を立てそのお金でみんなで旅行に行くという方式。
 通常の無尽よりは積み立て金額が少なく(飲み代+3,000~)、人数も少人数で行うのが特徴。また、飲み代より高めに金額を徴収し残金をそのまま積み立て、期間終了時に温泉などで忘年会をする費用に充填する「飲み無尽」といわれる方式もあります。

 飲食店が多い北上では居酒屋などの飲食店が常連客に声をかけて構成する無尽も多く見られ、飲食店の貴重な収入源となっている場合も少なくないようです。
 また、無尽では普段知り合うことの出来ない異業種の方と知り合いになれる場合もあり、思わぬビジネスにつながったり、人脈が広がったりということもままあるようです。但し、狭い田舎ですから過度な期待は禁物ですが(笑)
 いいことばかりのような無尽ですが、参加して自分の番が回ってきて取ったあと参加しなくなるという不届き者もごく僅かですがいるようです。そのためか、新参者に対してはだれの紹介も無く無尽に参加するということは難しく、仮に参加できた場合でも取るのは最後の方ということも良く有るようです。